気候変動と、豊橋で価値ある土地の探し方

土地の相談を受けることが増えてきたので、「豊橋の建築会社」目線で書いてみようと思います。

2024年8月31日現在、外は台風10号による大雨で、各地で道路が川のようになっている映像や、土砂崩れの情報を目にして、水害の怖さを実感しています。

それにも関連づいた安全な土地探しのお話です。

まず、一般の方が土地を探す時には「住みたいエリア(学区)、通勤、買い物に便利、日当たり、土地の価格、広さ、ハザードマップ」を気にして選ぶ方が多いのではないでしょうか。

上記は基本的なことですが、少し注意して頂きたい点があります。

実際に土地を探す時になると、不動産会社や、建築会社に相談することになると思います。

その時に、たくさんの要素をしっかり検討して相談にのってくれる相手であれば頼り切っても良いと思いますが、どうしても商売でやっている側面があるために

不動産屋さんであれば「土地を早めに決めてもらいたい」、建築会社さんであれば「少しでも安い土地を選んで建築費にまわしてもらいたい」という思惑が働くことは念頭に置いて頂く必要があると思います。

いつの間にか、親身になってくれる業者さんに惑わされて、大事な事を忘れて契約間際の重要事項説明で、ハザードマップをみて心配になってしまうということがないようにお気をつけください。

参考までに具体的な、豊橋西部(牟呂町周辺)を検討してみようと思います。

豊川の河口と三河湾が近く「津波や高潮のリスクがある地域」になります。

これは、地球温暖化と組み合わせると高まることはあっても低くなることは無いと考えられます。

(20世紀末を基準とした21世紀末の上昇量は4℃上昇シナリオでは0.71m、2℃上昇シナリオでは0.39m)後の参考資料をご参考ください。

ちず見る豊橋

ちずみる豊橋 | 地図表示 (wagmap.jp)

重ねるハザードマップ

重ねるハザードマップ (gsi.go.jp)

津波で見ると

そこそこ広い範囲ですが

ここに洪水・内水を重ねてみます。

川に近い部分で浸水する範囲が増えました。

さらに高潮を重ねてみると・・・

水害を免れそうなのはかなり限られた範囲になります。

3~5m浸水想定の範囲も増え、平屋だった場合、最後に参考として載せる「伊勢湾台風物語」のような、家族が最悪の結末を迎えてしまう可能性もあります。

この想定では、

「既往最大規模の台風として、中心気圧を室戸台風級(昭和9年、室戸岬付近上陸時 911.6hPa)とし、上陸時の気圧(910hPa)を保持したまま、伊勢湾台風級の移動速度(73 ㎞/h)で、各海岸で潮位偏差が最大となる経路を通過する場合を想定」とのことですので多くの悪条件が重なった場合ではあるので可能性としては少ないのですが、知らないよりも知って選んだ方が、対策を打つことはできます。

次は、地震のリスクを確認してみたいと思います。

どこでも震度7の想定なので変わりません。(厳密には地質により揺れやすさが変わるので共振も考える必要はありますが、耐震等級3で建てれば回避できると思います。)

次は液状化リスクの確認

液状化は、能登地震のようにこんな状態になってしまう可能性があります。

家が傾かないようにちゃんと液状化対策をすると、相応の費用はかかります。

日刊ゲンダイ
能登半島地震で大半が液状化 耐震化だけでは被害は防げない…都心のタワマンは大丈夫か?

液状化とみられる現象で隆起した石川県内灘町の道路(C)共同通信社この記事の画像を見る(3枚)

安全そうなところは、先ほどの津波、洪水、高潮と重なってきます。

上記を見て思う事は、「人がたくさん住んでいる」ところも水害や液状化リスクはとても多いのですが、そこと似たような価格でハザードにかからないエリアもあるので、選択肢があれば

リスクの少ないところから優先順位を検討して頂くと、代々安心して受け継ぐことのできる土地選びができると思います。

他にも個別の土地としては高低差としての擁壁や、周辺環境としての日照条件等細かいポイントもありますので、お声かけ頂ければ技術者としてのアドバイスはできる限り致します。

下記参考を見て頂くと、悲観的になってしまうかもしれません。ですが先にこの心配を消しておけば、余計な心配をせずに楽しく住み続けることができると思いますので、是非ご検討ください。

「伊勢湾台風物語」

アニメを見て育ってきた世代として、主人公が死にそうになってもギリギリで生還したり、生き返ったり、なんとなく自分と重ねて

「主役は死なない」「死んでも生き返る」という定説をあっさり裏切られ、考えたくない現実を残酷に突きつけられるものでした。

私自身が、当時から1Fの天井くらいまでは浸水してしまう可能性がある地域に住んでいた(今も)ので、トラウマのように残っています。

お子様がいる方は目を背けたくなってしまうような映画ですが、そのリスクがある事をわかっていれば、対策や回避できる可能性も高くなりますので、三河湾に近くに住む方には是非見て頂きたい内容です。

【気候変動・日本の議論が足りない】東京大学教授・江守正多/人間活動による気候変動「疑う余地ない」/気候変動とイノベーションー豊かさに?/気候変動が生む格差と正義/猛暑【EXTREME SCIENCE】

自分の家に火がついているのを知っていたら消火作業をすると思います。地球も、既に火がついている状況です。

個人でできることは少ないレベルですが、何もしないと被害を受けるのは自分の子どもの子どもかもしれません。

海面水位・高潮・高波の観測事実と将来予測~「日本の気候変動2020」から~

海面は上がっているという事実と今後の予測

06.pdf (mlit.go.jp)

JAXA 海面上昇シミュレーター

海面が上がるとどこが水に浸かるのかというシミュレーション

海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Apps

※このブログは、問題提起や一般の方に気づいて頂きたいことを優先して書いていますので、エビデンスが甘い可能性もあります。詳しい方、間違っている点等やお気づきの点がありませいたら是非ご指摘ください。

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