豊橋での土地探し(微動探査も行いたい理由)
先日、微動探査による調査を行いました。土地選びのお話の前段として、どうしても外せない地盤と、その調査方法からご紹介します。
現状、業界内では地盤調査はSWS試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)という方法が主流で、微動探査についてはまだメジャーではないと思います。
弊社では、微動探査は2年前に建物で一度測定し、結果「許容応力度計算の耐震等級3にしておけばとりあえずやらなくても良いか」というスタンスでおりました。
ですが、能登地震を受けて、「あれが自分の街で起こったら」と考えるようになり、
SWS試験では主に沈下に対する調査を行い、微動探査では地盤の「揺れやすさ」を把握する意味合いで両方行うことにしました。
正直なところ耐震等級3に加え、制振ダンパーも標準でつけることにした佐藤工務店としては、微動探査を行ったところで耐震性能を弱めるわけでもなく、そもそも液状化しやすかったり揺れやすい地域はある程度調べればわかるので、お客様が土地を購入する前におすすめしません。
耐震性が確保されている建築への直接的な意味として、微動探査を行う意味はそこまでないと考えています。
では、なぜやるのかというと「不動産価値向上のため」と「住むのに適している地域と避けた方が良い地域の見える化」のためです。
不動産価値の向上のためには前述のとおり、揺れにくい土地をお勧めするので、10万円そこそこでそれが証明できれば安心感にもつながり、引き継ぐ人にも価値になると考えられます。
避けた方が良い地域の見える化については、積雪地域にスタッドレスタイヤやチェーンを付けて行くのか行かないのかに似ている気がしますが、SWS試験だけでは「揺れやすさ」まではわからず、雪道なのかどうなのか判断しづらい状態であります。
自分達や、しっかりつくっている建築会社ばかりなら、みんなスタッドレスタイヤを履いている状態に近いので地盤の揺れやすさなんてわからなくても良いのですが、周りを見渡すと「雪が積もっているかもしれない」なんて考えもせずにノーマルタイヤのままスピードを出して走っているような人たちが実はたくさんいる状態なのです・・・
ショッキングで目を背けたくなってしまいますが、自分が大丈夫でも「もらい事故」もあり得るのです。
↑の動画や、様々な被害状況をみると山から海へ水が流れ出る過程で形成された沖積層が多い地域として共通する被害も予測されます。
微動探査の会社であるBe-Doさんの現地調査レポートは豊橋市民にとってとても貴重なレポートで、仮に地震後の豊橋に置き換えてみると勇気をもって今のうちに「住まない」選択をした方が良い地域もあぶり出されるのではないでしょうか。
(具体的に表記はできませんが、市内に心配な地域はいくらかあります・・・)
令和6年能登半島地震・輪島市は極めて揺れやすい地盤と判明 (be-do-inc.co.jp)
最後に、土地探しで個人的におすすめな順序をご紹介します。
1.住みたいエリアと金額の相場を検討する
2.津波も、液状化も被害を受けそうな場所は避ける
南海トラフ地震被害予測調査/豊橋市 (toyohashi.lg.jp)
3.揺れやすそうな地域は避ける
「表層地盤」のタブを選び、色で判断し選択肢に入れているところをダブルクリック→地盤増幅率が低い(1に近い)ほど揺れにくく、高い(2に近い)ほど揺れやすいと判断してよいかと思います。
4.ハザードマップで大雨時の浸水や、土砂災害が局所的に危険性が無いか調べる(この辺りは不動産屋さんが教えてくれます)
5.場所が絞れたら、ダメ元で売主さん負担で微動探査をさせてもらえないか頼んでみる(良い土地であることの証明になるはずなので、もしかしたら値引きを頼むよりも受け入れてもらい易いかもしれません)
6.上記がダメだったら購入後、微動探査までやるべきか予算と相談する(土地の価値を上げるために)
そこから先の周辺状況との対策(古い隣地が倒れ掛かってこないか、離隔を取ったら日射取得ができるかできないか等)は設計者の力量次第化と思います。
地盤については、市内では研究している方だと思いますが、まだまだ勉強不足で偏った意見になっていると思うので、今週から始まる静岡木の家ネットワークの地盤セミナーでさらに勉強し、地域に役立つ発信ができればと思っています。近くにこのような学べる場があるのは本当にありがたいです。
使える情報になるかわかりませんが、是非お住まいの地域や、探そうとしている地域を再度見直して頂き、もし30年以内に南海トラフ地震に見舞われたときに少しでも被害が減る事を願っております。