佐藤工務店代表は、現場監督出身です。
10年以上新築やリフォーム、不具合修繕の現場と向き合って、建てた後の満足感や困りごとをじっくり見てきたつもりです。
下記に記すことは、営業や、設計の方が「そこまで考えなくても大丈夫です。」というかもしれません。
現場経験が長い方は「予算や時間があれば検討した方が良いですね」というのではないかと思います。
それは、追及していくと「検討しなければせっかくの良い家が投資ではなく浪費になってしまう事もある」考えられるのではないでしょうか。
少し面倒かもしれませんが、先に下記をおさえておくとより楽しい家づくりに専念できると思います。
佐藤自身の体験も補足として加えておりますので、是非家づくりのご参考にしてください。
〇土地、地盤
土地の過去を検討せず土地選定を行ってしまった場合や、地盤調査結果について「なぜ地盤改良または地盤補強が不要なのか」を明示できない住宅は、
せっかく地盤保証に加入しても条件から外れてしまうこともあります。
建築会社がどのような考察をしているのか、しっかり確認しましょう。
補足:豊橋では、海に近いこともあり地域によっては「昔海だった」ようなところもあります。そのようなところで少し深く掘削すると波打ち際で穴を掘る時のように
どんどんまわりの土が崩れてくるようなことが起こります。そのような地域では本来「支持杭」という方法で支持層まで杭でつなぐ事が理想なのですが、
深さが10mほどになると費用も高額になります。「摩擦杭」という方法もあるのですが液状化等にどこまで対応できるかはなんとも言えません・・・
そのリスクがあるところは津波や高潮のリスクがあるところも多いので、避ける事をお勧めします。
〇構造
建築基準法を満たすだけの耐震等級1は一度の大きな地震に対して壊れないための最低基準です。ダメージを受けた建物に、その後安心して住み続けられるかは不確定です。
更に2025年の法改正により、それまで耐震等級3のつもりだったものが、品確法ではそうでなくなってしまう可能性もあります。
過去の地震と照らし合わせて、安心して住み続けられる構造を検討しましょう。
補足:以前お客様から築30年の家について「当時の工務店が廃業してしまい耐震が心配」と言われて図面を預かり構造計算をしてみたところ、
品確法でしたがちゃんと耐震等級3の仕様になっており現場の一部も見て健全で「これなら大掛かりな費用をかけての耐震補強は不要です。」
とお伝えしたことがあります。
30年前からその設計をされていた事に敬意を感じ、「自分もそんな仕事をしたい」と思ったものでした。
この地域では100年周期で大きな地震が起きていることがデータとしてわかっています。その100年後が2030年前後となる時に、
できうる最大の対策はしておいて損はないのではないでしょうか。
〇耐久性
見えない部分をコスト削減のため、耐久性の低い防水紙や換気部材を最低限にすることは良く見られます。
性能の数値だけ高く、床下や屋根壁内の結露対策が出来ていない建物は最も短寿命になりやすい状況にあります。
防水紙の耐久年数や、高断熱住宅においては「なぜ結露しないのか」を理解できるまで確認しましょう。
補足:この部分は一番一般の方にはわかりづらい部分であり、一番会社の姿勢があらわれるところでもあります。
現場監督や職人さんは、リフォーム等で問題になった部分を目の当たりにしたり、どんなものをどう使うと長持ちするのか
現地で感じられる立場でもあります。
特に国産の防水紙を使っていると数年後にボロボロになっている事や(逆に海外製の防水紙が30年前の物でも全然劣化していなかった経験もあります。)
通気が取れていない屋根壁が劣化が早いことは現場の人は良く知っていますが、営業や設計の立場だと、見ることも少ないので意味さえ分かっていない事があります。
是非検討の際には現場の方にもお話を聞いてみると良いかと思います。
〇可変性
「特殊な工法」は各社の差別化のための営業ツールのようなものです。
特定の会社でなければメンテナンスできなかったり、費用が高額になると手の打ちようがありません。
「高性能」は特殊な工法を使わなくとも知識があればできるので、どんな会社でもメンテナンスしやすい方法を採用しましょう。
補足:こういった意味では住まい手側で知識を付けて、信頼できる工務店を選ぶ事が一番の長期的リスク回避になると思います。
仮に何らかの形で新築時の工務店に依頼する事が出来なくなっても、後で手を加えられる仕様になっていて、且つ図面があれば
誰でも修繕やリフォームを無駄なコストをかけずにすることができます。
そういった意味では、実はそれほど木造では特定の工法や材料による特異性は住宅にはありません。(2×4工法と在来工法では考え方が少し違いますが)
ですので、「特殊な工法」のメリットも必要かもしれませんが、「誰がその後面倒を見てくれるか」も考慮した方が良いかと思います。
〇省エネルギー性
断熱、気密性能はそこそこ良くても、日射コントロールや冷暖房負荷を考慮できず知らずのうちにエネルギーを使ってしまうと高性能が逆効果に働いてしまうこともあります。
設計力に差が出ますが、季節ごとの太陽の動きや将来の周辺環境にも配慮した計画をしましょう。
補足:最近、いろんな住宅会社を施工している職人さんから話を聞いていると断熱、気密性が上がったことによるリスクもかなり増えていると思います。
・日射取得にこだわりすぎたため夏に暑い
・なぜか床下が結露でベタベタ
・第一種熱交換換気装置が手入れされていなくてカビだらけ
・木材の収縮により現場発泡断熱材に隙間が
数字や機械だけに頼ると上記のようなことは当然起こってしまうと思います。
ここ知識のなかった数年前は理屈がわかりませんでしたが、暑がりの方が住んで冷房設定を低くしている部屋、高齢者施設で常に暖房をつけて
内外温度差が大きいところでは外壁にカビが生えて改修を依頼された経験があります。
家も、体も健康を損ねてしまう可能性がありますので、なぜその仕様にしているかわかる設計者さんに長期的に問題がないか確認を取りましょう。
◎まとめ
上記のような事を根拠に基づいてクリアして行けば、表面だけのリフォームや、設備の更新で50年以上、さらに長期的に残していける家はつくる事ができます。
家のメンテナンスにかける費用も減り、安心できる家に住む事ができれば家族のやりたかった事に注力できると思います。
そして、その住まい手の方が一緒に地域を盛り上げてくれることが、魅力ある街となり人が集まりさらに地域の価値も高まるのではないかと思いこのような発信を
してみました。
近年、youtube等で家づくりの情報がわかりやすくなり、ChatGPTに聞けばそれなりに本当に良い仕様の真髄に迫る事もできるようになりましたが、それでもまだポジショントークが横行するこの業界で見抜くのは難しいかもしれません。
混雑状況によりお返事等は遅くなってしまう可能性がありますが、何を信じて良いかわからなくなった方は是非お気軽にご連絡ください。
東三河の地盤特性や気候に対して具体的にどのように考えれば良いかを、公式LINEで発信しておりますので、是非ご登録ください。